今この瞬間、最高のサービス(商品)を提供することができても、経済的基盤が弱いために明日はどうなる
のかがわかないようでは「事業」とはいえません。「最高のサービス(商品)を提供して、最大の利益を
あげて、事業として継続する」ために会計帳簿をつけましょう。
■まずは会計ソフトの導入
事業を行う場合の帳簿は「複式簿記」という方法でつけます。この「複式簿記」で帳簿をつけるという作業は
少し前までは経理担当者や税理士の職人芸的独占業務でした。
しかし、パソコンと会計ソフトの普及により、いくつかのルールを覚えさえすれば誰でも比較的容易にこの
「複式簿記の帳簿」をつけることができるようになりました。そこで、まず、自社で帳簿をつけるのであれば
会計ソフトを導入しましょう。
その際どの会計ソフトを選ぶかは、税理士を依頼している会社、あるいは依頼しようとしている会社は事前
に担当税理士と相談してください。税理士事務所と自社の会計ソフトが違うと思わぬ手間がかかります。
また、広告と値段にまどわされないようにすることも大切です。派手に宣伝をしている有名なソフトが必ず
しも自分の会社にふさわしいとは限りません。最初が安くても毎年のバージョンアップ費用が意外にかさむ
メーカーもあります。
■導入したらカスタマイズ
会計ソフトを購入して、おおまかの操作方法がわかったら、会計ソフトを自社にあわせてカスタマイズ
しましょう。
会計ソフトは多くの場合、大企業から個人事業まで、小売業でもサービス業でも建設業でも使うことが
できるように作ってあります。そのため大企業にあわせて起業早々の会社ではあまり使うことがない勘定
科目も用意されています。
そこで、自社の必要に応じ余分なものを表示させないようにする、「普通預金1」「普通預金2」と表示されて
いる勘定科目を「みずほ銀行・普通」「三菱UFJ・普通」と自社が普段使っている名称で表示されるように
変えるという作業をします。また、「売掛金」の下に得意先ごとの補助科目をつくって(「売掛金」というフォル
ダーの下に、得意先ごとのフォルダーをつくるイメージです)売掛金の管理をしやすくするなど必要に応じて
補助科目を作成します。これだけでも、相当作業効率がアップします。
さらに摘要で使う言葉、特に繰り返し入力する得意先・仕入れ先名などを辞書登録しておくと一つの仕訳が
数秒で入力できるようになります。
■入力データはとことん活用
会計ソフトを導入し、カスタマイズしたあとは、ひたすら日々の取引について
@日付
A勘定科目
B金額
C摘要(内容・相手先)
を入力していきます。
このとき一番ネックになるのがAの勘定科目だと思います。「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」という
耳慣れない言葉がでてきます。例えば「銀行からお金を借りた(借入金)」ときに「借りた」のだから「借方」
に書くのかと思えばそうではなく、「貸方」に書くので、混乱します。これについては、「銀行帳」「現金出納
帳」から入力することである程度は回避できます。ただし、できれば簡単な入門書(例えば「さおだけ屋は
なぜ潰れないのか?」を書かれた山田真哉さんの「世界一感動する会計の本です」「世界一やさしい会計
の本です」(日本実業出版社)など)を読まれると、「借方」「貸方」に分けること(別のいい方をすると「因」
「果」に分けて書くこと)の奥深さがわかり、数字を味方につけやすくなると思います。
そこまでは、なかなかいけそうにないという人は、最初に「摘要」欄を工夫してみてはいかがでしょう。
「摘要」欄には通常、取引の内容と取引の相手を書きます。しかし、それ以外のことを書いてはいけないと
いうきまりはありません。そこで「摘要」欄に売上と関係がありそうなことも一緒に入力してしまいます。
たとえば、売上に曜日や天候が関係しそうな会社はsun・mon・tue・・・でも、○・◎・●・・・でも構いません。
あとで、集計をとってみたい項目を一緒に入力します。これを入力しておくと会計ソフトの検索機能を利用
して、日曜日の売上だけを表示させる、晴れの日の売上だけを表示させるというようなことができます。
アイディア次第、活用次第で有力なデータベースになるというわけです。それを励みに記帳を続けてみて
ください。
ただし、会計ソフトを使う際に気をつけておかなければならないのは、会計ソフトは非常に有能で、入力され
たデータは間違いなく処理しますが、入力されたデータそのものに間違いがないかどうかについては一切
判断してくれないということです。会計ソフトが頼もしい味方なのは「入力する人の指示が正しいときだけ」
です。
自社で会計処理を行うことができるのは素晴らしいことだと思います。
ただ、もし、簿記会計や会計ソフトに詳しい担当者がいないのであれば、「余裕ができたら税理士を依頼
する」のではなく、「軌道にのるまでの間だけでも税理士を依頼する」という選択肢があってもよいのでは
ないかと思います。
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